M&Aは一定のプロセスを経て実現されます。経営戦略とM&Aという手法を選択する理由、相手の探索、財務・法務・ビジネスデューデリジェンス(査定)、双方で最も効果的な実行時期の設定、M&A後の相互条件など、専門的且つ総合的な組み立てを必要とされます。
しかし、友好的M&Aの場合、その根幹となるのは企業間の「提携」です。しかも形式的なものでなく、引き継いでもらう側、引き継ぐ側が相互に理解や尊重を深める必要があります。
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上場企業同士が経営統合を突然行うと株主、従業員、取引先などのステークホルダーから理解が得られにくいため、まずは、資本・業務提携を契約し、一定の期間を経てから経営統合を図るケースが多用されています。中小企業のM&Aの場合には、このような提携契約自体を事前に行うケースは多くありませんが、精神論としては必ず「提携」してM&Aを進展させます。
「提携」とは、企業の「強み」だけでなく「弱み」も互いに理解し、それを補完したり、より強固な事業を構築していくことです。業務提携であれば、販売協力、共同開発、共同仕入などですし、資本提携であれば、出資を通じて経営に参画していくことを示します。相互にメリットを享受し合うことであり、単なる商取引とは一線を画し、外部企業との「信頼」を前提にしています。
この「提携」精神の強弱がM&A進展の速度を左右するだけでなく、M&Aが成功するか否かの大事な要素となります。
また、「提携」を実効性のあるものにするために、或いはM&Aを売却側、買収側にとってより有益なものにするためには、SWOT分析を行うことが有用です。
SWOT分析とは、「Strengths 強み」「Weaknesses 弱み」「Opportunities 機会」「Threats 脅威」をフレームワークで分析することであり、売却企業を評価する際に利用されますが、買収企業にとってもM&Aを行う意義を再度見つめ直す効果もあります。
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